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【感想・レビュー】がんから始まる/岸本洋子 

2015年08月14日

がんと告知されて、これからどうやって生きて行こう?と思っていらっしゃる人、
がんではなくても、生きるのに悩んでいる人など、少し心が落ちている人にも、
心が明るくなる1冊です。


がんからはじまる/岸本葉子

がんから始まる (文春文庫)





私はエッセイのような読み物はあまり好きではありません。

なぜ?と言われても明確な返答はできないのですが、
私の場合、他人の素晴らしい人生の記録を読んで、
自分も頑張ろう!と思ったとしても、ほど遠い自分にガッカリするからでしょうかね。


著者:岸本葉子さんについて


そんな私が、今回、この本を読もうと思ったのは、
取材協力させていただいた某番組のコメンテーターに
岸本さんがいらっしゃると聞いたからです。

エッセイストとしての立派な地位があり、ひとりでしっかり生きていらっしゃる岸本さんは、
がんに罹患してからも、私などとは全く違う道のりを経てきた別世界の人だと思っていたのですが、
とっても身近に感じました。


岸本葉子さんは、大学卒業後、保険会社に勤務。

その後、北京に留学して、現在はエッセイストとして活躍中。

また、「HOPE★プロジェクト」という、がんサバイバーが立ち上げたNPOの理事です。


がんから始まる


岸本さんががんと告知されてからのことを綴ったエッセイが「がんから始まる」です。

第一部は告知から手術のこと。

第二部は退院後の生活のこと。

そして、第三部は文庫本のあとがきに代えての「4年を生きて」です。


患者になって初めて分かる「ある!ある」の出来事ばかりで、
別世界に住んでいる岸本さんも同じなのだと嬉しくなり、
その切り口が「さすがプロ」で見習いたいものです。


患者あるあるに共感


パジャマ選びにデパートに行った話では、
デパートにパジャマを買いに行くなんて、やはり、お金を持っている人は違うなと思ったのですが、
よく考えたら、私も下着を買いにデパートに行きました。


人に見られる可能性があるので恥ずかしいものを着ていられないという想いと、
デパートで買う下着なら、身体に害がなく楽に過ごせると思ったんですよね。


興味深かったのは「仕事はどうする?」の章です。

私が乳がんの告知を受けた時は、2週間弱の休みの後は、通常通りに働ける。

放射線治療に通わなければいけないので、その間をどうしようか?との心配でした。


でも、会社に伝えると、そんな簡単なものではなく、
「がん = 死 」と考えられ、がんの人間は体力が持たないとクビになりました。


実力がある人は、病気で長期に渡って休むことになったとしても、
治療が終われば元のまま仕事ができると思っていたのですが、
岸本さんの体験を読んで、会社勤務以上に厳しい現実を感じたのです。


病は気からで終われない


全編を通して「ある!ある」の中、特に共感したのが、
『「病は気から」は真実か』の章です。

前向きに生きるとか、心の持ちようで延命ができるとかいう説に
モヤモヤッとした想いと違和感を持つのは私だけではなく、
岸本さんも同じように考えていたのだと思うと、
こんな私の考えにも自信がもてました。


がんに罹患してからのことを、明るくユーモアを交えながら綴っている
「がんから始まる」は、がんと離れて傲慢になりつつある時に読み返したい本です。
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